2018年は、派遣労働者にとっても、派遣労働者を雇用している企業にとっても、大きな転換期となる年となります。2015年9月30日に改正された労働者派遣法が、2018年9月30日以降適用となるためです。
この改正の要点をまとめると、
▼派遣期間に制限がない専門26業務(「機械設計は26業務に該当」)とそれ以外という区別が無くなり、全ての業務で、同一の派遣労働者が同じ派遣先で働ける期間が、最長3年という区切りになった。
▼3年を過ぎた場合には、
派遣元(派遣会社)から、派遣先へ労働者の直接雇用を依頼する→努力義務のため、派遣先は断っても良い。ただし、同じ人でなければ、同じ派遣会社から派遣社員を雇い入れることは可能。
しかしその場合は、派遣元が労働者に新たな派遣先や継続的な派遣先を提供しなくてはならない。もしくは、派遣元が労働者を無期雇用しなくてはならない。→派遣元の義務であり、労働者の権利となっている。そのため、派遣元は次の派遣先をみつけるか、派遣元で無期雇用をしなければならなくなる。
つまり、この派遣法改正によって、派遣先だけではなく、派遣元のリスクも増えることになりました。派遣先となる企業だけではなく、派遣元でも雇い止めの問題が増えてくることでしょう。現実に2017年末から、雇い止めのニュースが報じられるようになってきています。これが大きな社会問題になってくると、雇い止めを行う企業や派遣会社に、社会的なマイナスイメージが付いてしまうことも考えられます。
設計業界だけではなく、日本全国どの業種でも人手不足が深刻化している現在において、派遣会社の人材確保はより難しくなっています。労働者にとって条件の良い仕事が多くなってくる中で、わざわざリスクの大きい派遣を選ぶ人は少なくなるでしょう。そうなると、ただでさえ上がっている派遣コストは、さらに増大することが予想されます。
また、派遣先企業にとっては、今までのように業務に精通したベテラン派遣が使えなくなり、3年区切りで人を入れ替え、1から仕事を教えなくてはならなくなるというデメリットも生じます。
そういった状況の中で、「設計」や「エンジニアリング」という専門性が高く、技術を要する業務については、派遣労働者を雇いながら仕事を回していくのではなく、引き取りという形で専門会社にアウトソーシングする体制を整えたほうが、メリットが大きくなると考えられます。特に人材不足の影響を受けやすい中小企業においてはより顕著になるでしょう。コストが読みやすい、自社の人員組織に左右されない、高い技術レベルでしっかりとした納品物を提供できるといったメリットは、派遣会社では望めない部分です。
派遣法改正の影響が大きくなる前に、信頼できるエンジニアリング会社を探しておくことは非常に重要だと思われます。労働の形が大きく変わるであろう2018年、今一度、自社の業務体制を見直してみませんか?